囲碁の棋譜【本因坊秀策】感想を書いてみる〜その11
当時の本因坊家当主、本因坊丈策との1局です。
丈策は第13世本因坊で、第11世本因坊元丈の実子です。
先代の丈和や跡目の秀和に比べると知名度が少し低いですね。
丈策の有名なエピソードといえば、以下の話があります。
井上家の玄庵因碩が名人碁所を臨んだ際に、跡目の秀和を争碁の相手として送り、秀和が勝ったことで玄庵因碩の名人就位を阻止しました。
本来は本因坊家当主である自分が争碁を打つべきだったのでしょうが、棋力で劣ると判断して秀和を送ったと伝えられています。
井上家、玄庵因碩からすると憎き相手でしょうが、当時の家元は名人位を巡って文字通り手段を選ばない方法で争いが繰り広げられていました。
そこには囲碁だけではない、人間味あふれるドロドロした戦いも多くあったとされています。
機会があればそうした話も書きたいですね。
さて、この碁は秀策との2子局です。
大阪遠征で中川順節に2子で4連勝した秀策少年。
当主である丈策との対局はどうだったのでしょうか。
早速対局を見ていきましょう!
秀策が何とか逃げ切った1局でした。
丈策も序盤から巧みに打ち回し、コウを絡めて差を着実に詰めていった印象です。
しかし、最後はしっかりと秀策が4目残したことで、丈策も秀策の力を改めて認めたことでしょう。
跡目に秀和、その下に秀策という天才がいることで、この先の本因坊家の安定と繁栄を確信していたかもしれませんね。
丈策はあまり有名な棋士ではありませんが、棋譜を見る限りでは決して弱いわけではなく、準名人(八段)である本因坊元丈の実子というのは伊達では無いと思います。
病弱であったと言われており、七段という段位で終わってしまったのが勿体無いですね。
また、囲碁だけでなく学識にも優れ、棋界一の博識であったとされています。
文人でもあり、本因坊知伯から本因坊元丈の代までの本因坊家の打碁65局を収めた「古今衆秤」という棋書を発行したことでも有名です。
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