囲碁の棋譜【本因坊秀策】感想を書いてみる〜その7
井上門の中川順節との2子局です。
順節は1804年に江戸で生まれました。
40歳前に大阪へ移り住み、関西碁界の普及に大きく貢献したことで広く知られています。
この碁は因島に帰郷していた秀策が江戸に帰る途中、大阪に立ち寄った際に打たれた対局です。
秀策はこの時12歳。
順節とはこの時2子で4局打っているのですが、秀策は圧倒的な強さを見せつけました。
天才少年の名声はますます広がったことだと思います。
それではさっそく対局を見ていきましょう!
秀策の厳しく力強い攻めが冴え渡った1局でした。
序盤は大斜定石という難解な大型定石から始まりました。
順節が秀策少年の力を試す意味合いもあったのかもしれません。
大きな変化になりましたが、ほぼ互角の分かれになったと思います。
その後戦いの場は右辺に移りますが、そこで秀策は一気に力を出します。
見事な打ち回しで一方的な展開に持ち込み、そのまま大石を召し捕って押し切りました。
順節に悪手があったのだと思いますが、私にははっきりした敗因は分かりません。
元々が2子局なので黒が優勢になるのは当然といえば当然です。
しかし、互先でも秀策は決して負けていないのではないかと思わせる内容でした。
秀策の力強い打ち回しはとても勉強になると思いますので、ぜひ並べてみて下さい!
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ディスカッション
コメント一覧
解説付きで、とても分かりやすいです。
勉強になります。
日一つ質問させていただいて宜しいでしょうか?
右上の星の黒は取られても良いと思って打っているのでしょうか?もし投了図のあと、15の5で切られたら、取られるのでしょうか?
それとも何かのシノギがあるのでしょうか?
囲碁っちさん
コメントありがとうございます。
右上隅の黒は取られても問題ありません。
15の5に打たれたら取られてしまいますが、下辺で白の大石を取っているため、取られても地合いで黒が大きくリードしているからです。
返信ありがとうございます。
自分だったら、右上を早い段階で守りたくなるのですが、そこを守らずに下辺を取りきるのがすごいです。
最後の場面になれば、勝てるってわかっても、途中で守らずに白を取り切る方針で打てるのがすごいなって思いました。
どこかを取り切る自信がないとできないですよね。高段者は普通なのかな。
どこが大きいのかを判断するのって難しいですよね。
私もしょっちゅう判断を間違って負けることが多いです。
相手の石を取りにいくのは、もし生きられると不利になることが多いため、かなり勇気がいります。
なので、プロの方などは上手く攻めて、取れなかったとしても他で得するように打っていることが多いと思います。